四つのお願い

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 すると、悪魔は泰介に向かって呪文を唱えるや否や、闇の中へ姿を晦ましてしまいました。  それからというもの泰介は働き者になって牛飼いの仕事に精を出しました。  そうして一週間経った晩、悪魔が泰介の目の前に現れて言いました。 「二つ目の願いを叶えてやるから言ってみろ!」 「じゃあ、俺は嘘つきの儘ではいたくないから正直者にしてくれ!」と泰介はまた嘘のお願いをしました。  すると、悪魔は前のように泰介に向かって呪文を唱えるや否や、闇の中へ姿を晦ましてしまいました。  それからというもの泰介は正直者になって皆の信用を勝ち取りました。  そうして一週間経った晩、悪魔が泰介の目の前に現れて言いました。 「三つ目の願いを叶えてやるから言ってみろ!」 「じゃあ、夜、曇ってても雨が降っててもどんな天候でも天の川をはっきり見たいから優れた視力を目に与えてくれ!」と泰介は正直なお願いをしました。  すると、悪魔は前のように泰介に向かって呪文を唱えるや否や、闇の中へ姿を晦ましてしまいました。  それからというもの泰介は毎晩、どんな天気でも天の川を観れるようになりました。けれども、そのことを話しても誰からも信じてもらえませんでした。それどころか、もっとましな嘘をつけと揶揄され、再び嘘つきとレッテルを張られて信用を失ってしまいました。
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