四つのお願い

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 そうして一週間経った七夕の晩に泰介は夜空を見上げ、わし座のアルタイルとはくちょう座のデネブと共に夏の大三角を形成する、こと座のベガ、つまり織姫星に向かって切にお願いをしました。 「どうか、悪魔を退治できる力を僕に与えてくださるようあなたの父上の天帝様にお願いしてください。」  すると、天の川の無数の光の粒が集まって流れ星のように落ちて来て泰介の目の前に神々しい天帝様が現れました。 「お前さんは改心して働き者になった彦星のようじゃ。じゃからわしはお前さんを気に入った。よってお前さんの願いを叶えてやろう。」と天帝様は言って泰介の頭に手をやると、神通力が働いて泰介は「イワンの馬鹿」の主人公イワンのように悪魔を一蹴する力持ちになりました。ですから天帝様が火球みたいになって昇天した後、自分の所へやって来た悪魔を難なく撃退して魂を奪われずに済みました。  この一部始終を見ていた者が仲間たちに話したものですから噂が噂を呼んで泰介の言っていたことは本当だったんだと皆が思うようになりました。ですから泰介は皆の信用を取り戻しました。そして正直で力持ちで働き者だと言うので泰介は女性にモテモテになり、到頭、織姫のような綺麗なお嫁さんをもらいました。
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