こんな夜に星の花束

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「何でこうなるの。お金がないから下ろしてきてって、頼んだよね。何で残高ゼロなの?」 「ごめん……」 「ごめんじゃ、済まないよ。何に使ったの?」 「競馬……」 彼は私よりひとつ年下の23歳。一緒に住みだして2年。大学を卒業しても就職せずに、アルバイトをしている。 私の名前は雨野空。あまのそらと読むが子供の時から、イベントで雨が降ると「あめのそら、お前のせいだ」といつもからかわれていた。確かに雨女だと自覚している。親も、もう少し考えて付けてくれたらよかったのにと思う。 もっとも我が親友は安倍麻利亜。病院で「安倍さん、アベマリアさん」と呼ばれると皆が振り向くという。それよりましか。 話はそれたが使い込み犯人の彼は、麻利亜と行った2年前のクリスマスパーティーで知り合った。その日、私は2次会、3次会と行くうちに酔って記憶が無くなり、朝、気が付くと隣に知らない男が寝ていた。慌てて自分の身体を触ったら、服はちゃんと着ている。 男の顔を見下ろすと、目を覚ました。 「おはよう、二日酔いは大丈夫?」 「大丈夫って、何でここに寝ているの?」 「送ってきて帰ろうとしたら、行くなと言われたから」
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