こんな夜に星の花束

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「はぁ? あなた誰?」 「星野啓二、みんなはケイと呼ぶけど。じゃあ、帰るね、バイトがあるから」 「ケ、ケイ君、あなたいくつ?」 「21歳、学生です。今、イタリアンの店でアルバイトしています」 学生、何で? たしか、昨日のパーティーは若手歯科医たちの集まりだったのに……。 混乱した頭を振りながら彼が出ていくのを見送った。 あっ、私も仕事だ!  急いで支度をして歯科クリニックに出勤したら、受付の麻利亜が私を見てクスクス笑っている。 「女王様、大丈夫?」 「私、昨日、何かやらかした?」 「たいしたことないから。『あなたを気に入った。今夜は私のナイトになりなさい』と男の子に命令していたけど」 「ええっ!」 出た! 飲みすぎると威張る癖。人恋しくなる癖、やっちゃった……。  前日の回想を必死に払いながら、歯科助手の仕事を無事に終わらせた。 麻利亜から私の悪行を聞き出そうと、一緒にクリニックを出たら、雨が降っていた。 いきなり麻利亜が笑い出した。 「ほら、あの角にナイトが待っているわよ。じゃあね」 驚いた、雨の中を立っている。 「ケイ君だったよね、どうしたの」 「急な雨だから傘を持ってきました」
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