タクシー運転手の夜話

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 「あんた、そんな部屋を客に貸したんか・・・もう呆れて何も言えないよ・・あんたさ、最低だよ」 俺は婆さんにそう言うと、婆さん貝のように口を閉してしまって黙っちまった。  「とりあえず、あの部屋にはもう泊まれないからさ、別の部屋貸してくれ、そのくらいはできんだろ?ここで見たこと聞いた事は誰にも喋らない事を約束すっから」 俺がそう言うと、婆さんは口を開いた。  「悪かったよ、勘弁してくんろ。札貼ったからもうあの女の幽霊出ないと思ったんだ。今後宿を続けていくためにも幽霊が出ないという確証が欲しくて、あえてあんたをあそこに泊めさせたんだ・・本当悪かったな」 「婆さん・・勘弁してくれや・・そういうの・・」 全てを知った俺はもう呆れて呆れて怒る気力すら無くなったよ。
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