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第19話 ランクA任務
懐かしい昔話を聞いてマリアは、改めて2人の凄さとマスターの猛獣使いの才能に気付く事が出来た。
(レイさんは前から天然というか少しズレた感覚を持っていたんだ・・・・・・まぁ、リューさんはそこまで変わらないな、マスターさんも変わらない)
結局、全員変わらないんじゃないか。
「レイとリューがまた始めたぞ〜」
楽しそうな声と共に地面がグラッと揺れる。
(二人とも何やってるの! 毎回毎回、かなりしょうもない事でギルド壊して・・・・・・修理費良いのかな)
溜息をつきながら炎をだしかけてる二人の手を取れの炎がゆっくりと消えて、揺れもなくなった。
「何かあったんですか?」
「いえ、依頼の事で意見が分かれまして」
「依頼?」
リューは2枚の依頼書を剥がし机の上に並べた。
「私が選んだのはDランク任務、報酬こそ少ないですけど安全です。 レイが選んだのはAランクで報酬こそ多いですけど危険性があるんですよ」
「・・・・・・修理代」
「確かにそろそろ修理代を払わないとマスターに怒られますけどマリアさんを危険には晒せません」
(やっぱり、修理代は言われるのか。 でも修理代を払う為には少し危険でも行くしかないんだよね)
考えながら視線を依頼書に向ける。
《ランクD。 毎夜やってくるイノシシの群れを来ないように追い返してほしい、金貨5枚》
《ランクA。 島にある宮殿から聞こえる唸り声の正体を突き止め退治してほしい、大金貨50枚》
「2万円と500万円・・・・・・差が激しいですね」
「Aランクは大変ですから」
「私はAランクでも良いですよ、だって私が危険になっても最強の2人が助けてくれるはずですから!」
「・・・・・・マリアさんには勝てませんね。 ならレイが選んだ方に行きますよ、今から行けますか?」
「はい、大丈夫です!」
(必要な物はBOXに入れてるから大丈夫!)
そう意気込んでからマリアは、リュー、レイ、と一緒に初めてのAランク任務へと出発した。
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・・・・・・のは良いのだが。
「まさか行くのってウィシュト島ですか、怪物が住んでるとか噂の。 その島に行った人は帰って来れないと噂のウィシュト島に行くんですか!?」
レイに腕を引かれながらマリアが聞けばリューは依頼書を取り出すとトントンと軽く指で叩いた。
《場所はウィシュト島、死んでも自己責任》
「ほら書いてあるじゃないですか」
「ちっさ! ていうか、死んでも自己責任なんて聞いてないです! 止めましょうよ、リューさん!」
「受けた依頼はこなすのが魔導師ですから」
にっこり笑顔でそう言われてマリアは泣きそうになるのを堪えながら、小さな船へと乗り込んだ。
行き先を伝えれば「本気か?」と正気を疑われた。
(私もそう思いますよ! でも、選んだのは私だしリューさんが言うように魔導師なら1度受けた依頼はちゃんとこなさいといけないし仕方ない)
しばらく船に乗っていれば霧の向こうにうっすら島のようなものが見えて思わず寒気が走った。
(ぶ、不気味、だな〜・・・・・・あからさまに危ないですよオーラが凄いくる、本当に大丈夫なのかな?)
そう思っていればふと手が重なった。
「大丈夫ですよ、私達が付いてますから」
「・・・・・・そうですね、リューさん達より強い人が居るのならそれはもう生き物じゃないですからね」
「褒められてるのか貶されてるのか分かりませんね」
話している内に自然と恐怖が薄れていってマリアが深呼吸をすれば思い出したようにリューが言った。
「宮殿に着いたら別行動しますから」
「はい!?」
「かなり広いようですし、固まって動いても時間の無駄でしょう? だから別行動で良いですよね?」
「無理です、無理です! 私はリューさん達みたいに強くないんですから魔獣とかに襲われたら一溜りもありませんよ!? 木っ端微塵ですよ!?」
「なら私が使い魔を貸しますから、多分優秀だと思うので大丈夫です、それでこの話は終わりです」
有無を言わさない笑顔で言われて溜息をつく。
(リューさんって基本的には真面目だけどこういう所は面倒くさがるんだよね、確かに面倒だけど)
それにしてもリューの使い魔とは何だろうか。
やっぱり天使? それとも恐ろしい化け物?
ワクワクするのと同じくらい違う意味でドキドキする心臓を抑えながらマリアは再び溜息をついた。
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