20人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話 チーム結成!?
騒いでいる内にどんどんと日は暮れていき、いつの間にか夜へとなってしまっていた。
満腹で寝た人、酔って寝た人、色々居る。
(たった半日居ただけなのにまるで家のように居心地が良いんだよね・・・・・・皆が私に優しくしてくれるから? いや、それだけじゃない)
心が暖かい人達が多いんだ、初対面の人とは無意識に距離を置くのにここの人達は違う。
「リン、俺と新人に飲み物を」
「了解しました〜・・・・・・って、もしかして酒に酔わせてお持ち帰りするつもりなんじゃ?」
にやにやとしながらリタに言われマスターは少し考えるとマリアの肩に手を回して言う。
「されてくれるか?」
「えっ、えーっと・・・・・・あの・・・・・・。」
「冗談だから気にするな」
「あ・・・・・・はい」
「でも来たくなったら来て良いぞ、寂しい時や悲しい時にいつでも来い。 遠慮するなよ?」
くしゃくしゃと髪を撫でられてマリアは少しだけ困ったような顔をしながらも微笑んだ。
(私は立派な大人・・・・・・とは言えないけどそれなりに年を重ねたんだからそんな事はないと思うけどそう言って貰えると凄く安心する)
目の前に差し出されたグラスから香る甘めのフルーツの香りを楽しみながら一口飲む。
「そう言えばレイ達にあったんだろ?」
「ん、会いましたよ」
「お前がチームとして組むのはアイツらだ」
「分かりまし──って、ええええっ!!?」
飲んでいたから良かったけも口の中に残っていたりしたや全部吐き出していた所だ。
視線を隣に向ければマスターはなんて事なさそうな表情で同じようなカクテルをゴクッと飲むとカウンターに肘をつきながら言った。
「アイツら問題ばかり起こすけど自分達が問題起こしてるって気付いていない、だから俺が注意しても何で怒られているか分からない」
「リューさんは常識人そうでしたけど」
「確かに天使のスマイルを浮かべるし、感情で何もかも壊すレイとは違う。 でもどっちが危ないかって言われたらリューの方なんだ」
(なんでリューさんの方が危ないのかな、聞く限りでは良い奴だって皆が言っているけど)
首を傾げていればポンと髪に手が置かれる。
「ま、気にするな、きっと大丈夫だ」
「きっと、って・・・・・・」
「ピンチの時は俺が──俺達が守ってやる」
そう言って優しく微笑んだマスターはふっと無表情に戻るとマリアの方を見て一言、
「まぁ・・・・・・無理な時もあるが」
(せっかく良い事を言っているのになんか締まらないというかカッコ良さが足りないな〜)
でも、凄く励みになった。
不思議そうに首を傾げながら2階へと戻って行くマスターを見送っていれば、それと入れ違いでリューが降りて来て隣の席に座った。
「マリアさん、でしたよね? マスターと話をしていたという事はチームの事とかですか?」
首を縦に振ればリューは困ったように笑う。
「やっぱりか・・・・・・すみません、来たばかりなのに私達と組む事になって。 嫌でしょう?」
「いえ! 嫌なんて、そんな事は!!」
「良いんですよ、慣れてますから。 でも私やレイのブレーキ役を任せるなんてマスターも酷な事をしますね・・・・・・こんな可愛い人に」
また天使のような微笑みを向けられマリアは身体の血がドクドクと沸騰するのを感じた。
(マスターさんと言いリューさんと言い、何でこう恥ずかしい事を言うっていうか、普通は躊躇する事をさらっと言うのかな〜〜!!)
「死んでも良いという事でしょうかね?」
マリアは身体の血が冷めていくのを感じた。
(余計な一言を言う所までマスターさんと似ているなんて。 なに、親子なの? それともただ単にデリカシーとか礼儀がないだけなの?)
思わず表情が引き攣りそうになるのを堪えていればリューの隣にドカッと誰かが座った。
「うん、機嫌が良くなりましたね、レイ」
「・・・・・・任務」
「もうそんな時間でしたか?」
首を縦に振ったレイは依頼表を手でプラプラ振ると椅子から降りてさっさと歩いて行ってリューは小さく息を吐いて椅子から降りる。
「すみません、マリアさん。 チームのお話はまた明日頼みます・・・・・・では、お休みなさい」
「は、はい!」
軽く手を振りながら出て行ってしまう二人を見送ってからマリアは大きく溜息をつく。
(私あの二人とやれる!? だってレイさんの事なんて何も知らない、分かってるのは怒らせると駄目だって事と無口って事ぐらい!!)
リューに至っては正直良く分からない。
とりあえずレイと仲が良い(?)のは会話でなんとなく分かったけれどそれだけ。
他は何にも分からない。
それほどに互いの事を全然知らないのに何でマスターはブレーキ役を任せてきたのか。
マリアはそう考えてある結論に行き着いた。
(もしかして、適当・・・・・・たまたま私が入団を希望してから入れて、化け物って言われてる二人のブレーキ役を任せてきたって事なの?)
有り得る。
大いに有り得る。
「もぉぉぉ〜、どうしよう!!!」
無事に悪魔の楽園に入団する事が出来たのは嬉しいが流石に化け物と呼ばれる二人と組むのは流石に無理だとマリアは溜息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!