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「アレルギーはないんですよ。これはただの大人ニキビです」
「そうですか、じゃあ、肌に塗る薬もだしておきますね」
それは有り難い。病院で貰う薬なら少しは効果がありそうだ。
「よく効きます?その、ニキビ治りますか?」
「いや、一番の特効薬は恋愛がうまくいくことですよ。さっきの赤坂さんなんてお似合いだと思うんですけど」
みどりは顔がかあっとする。医者はその様子を見逃さない。
「惚れ薬も処方しておきましょう。無味無臭で一滴だけ飲み物に入れればいいんです。飲んで一番最初に目に入った人物のことが好きになります」
みどりは赤坂さんの顔が頭に浮かんだが、我に返ってブンブンと頭を振る。ドライバーさんには他に感じのいい人がいっぱいるし、赤坂さんに飲ませたら勿体ない。それにこれは大学三年生のとき失恋した相手に飲ませてみるのも手だ。先輩は新聞社で働いていると聞いている。新聞社がある千代田区まで赴いてこっそり飲み物に惚れ薬をいれるのもいい。
おっと、でも惚れ薬なんて信じてる自分もバカだ。みどりは医者に騙されているのか。
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