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「青井さん、こんなところで会うなんて奇遇だね」
赤坂さんは馴れ馴れしく話し掛ける。
「そうですね、赤坂さんはどこか悪いんですか?」
みどりは事務的な会話に心がけた。
「ちょっと熱っぽくてねー。風邪かなと思って仕事を休んだんだ。青井さんも病気?」
「私も熱があるんです」
「そう言われてみれば顔が赤いね」
みどりは顔のことに話題を転じてほしくない。だって大人ニキビでボツボツなんだから。
赤坂さんはニコニコ朗らかな顔でみどりを見る。流石に照れくさくなって席を立ち場所を移動したいが、みどりと赤坂さんが来ているこの病院は小さなクリニックだ。席を移動したって赤坂さんの視界にみどりは入るだろう。それでもみどりは居たたまれなくて待合室の隅に置いてあるウォータサーバーのところへ行って紙コップに水を汲んだ。そして水を一口飲むとウォータサーバーの横の席に腰かけた。赤坂さんから少し離れたが会話は出来る距離だ。
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