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「青井さん、青井みどりさん」
「あ、はい」
診察室に入ると眼鏡のちんちくりんの医者がパソコンを前にみどりに話し掛けた。
「今日はどうなさいましたか?」
「熱が出ちゃったんです」
「どれくらい?」
「7度5分です」
医者はパソコンに病状を打ち込む。
「病気だね」
「それは分かるんですよ。熱があるんだから」
みどりは眉をさげる。この医者本当に大丈夫?と心配になった。
「風疹かな、大人になってかかると怖いんだよ。検査しよう」
えっ、みどりは風疹は小さいときにやっている。このボツボツ肌を見てそう思ったのか。みどりは消え入りたくなった。
「風邪だと思いますよ。風疹もはしかも小さい頃に罹ったんで。あの、私メンタル弱いんです。少なからず傷つきましたよ」
「えっ、ほんと?それじゃあ肌がボツボツになったのは何時から?」
「大学三年生の頃からです」
みどりは項垂れながら話した。大学三年生の時というのは確かだ。ちょうど憧れの先輩に彼女が出来たことを知ったのが大学三年生だった。その時やけ食いしたのをきっかけに肌がボツボツになり始めた。やけ食いだけが原因じゃないと思う。夜通し泣いたし、お酒も飲んじゃった。
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