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「それじゃあ、私なんかと日曜日に横浜に行ったらいけないでしょう」
「だって、青井さんって面白いから、会社でよくひょっとこおどりをして笑わせてくれるじゃん。あのひょっとこおどり好きだなあ」
ひょっとこのお面は運送会社のドライバーさんがお土産で買ってきてくれたものだ。両手を上にあげてヒラヒラ振りながら膝をあげてステップを踏むだけだからそんなに可笑しくはない。みどりは朝の清掃が終わったらこれをやっている。一日が楽しく過ごせますようにとひょっとこに祈願しているのだ。
「横浜に行ったらそんなことはしませんよ。それに二人でデーとなんかしたら告ってきた子に悪いじゃないですか」
みどりは赤坂さんと話をしていたら看護師さんに名前を呼ばれた。いそいそと診察室に入る。
「さっきの赤坂さんと病状が同じですね。風邪でしょう。薬のアレルギーはありますか?」
「ないです」
「食物アレルギーは?」
なんで食物アレルギーを訊くんだろう?あっ、肌がボツボツだからか。
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