第二章 もう一つの顔

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第二章 もう一つの顔

 祐也は『すばる』という源氏名を使っていた。 『ぼくの部屋へ、遊びに来てね。お星さまと待ってるよ♡』  こんな一言メッセージが、写真に添えてある。 「あの。この、すばるくんだけど。どんな子かな?」  受付カウンターのスタッフは、ていねいな口調で説明した。 「すばるくんは、大学生、というスタンスで接客いたします。部屋にはプラネタリウムプロジェクターが設置してありますので、星を眺めながらお二人の時間を過ごす事ができます」 「そうなの……」  ここで清水くんを指名すれば、彼は傷つくだろうか。  すぐに、和正はそう考えた。  しかし、彼の夜の顔も見てみたい。  好奇心が、わずかに勝った。
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