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「君、いい声してるね。穏やかで、心が癒される」
「ありがとうございます」
「起こし方も、よかった」
『朝ですよ。起きてください』
「お客様、もう終わりました! って怒られたんじゃ、ばつが悪いからね」
ふふふ、と笑う和正に、祐也も好感を持った。
(寝起きが悪くて、当たり散らすお客様もいらっしゃるのにな)
このままあと1時間、祐也とお喋りしていたい和正だったが、そうもいかない。
勢いをつけて、リクライニングチェアから起き上がった。
ぴしりとスーツを着込んで、きりりとネクタイを締めた和正は、ビジネスバッグを手にした。
「ありがとう。じゃあ」
「あ、あの」
「ん?」
「よろしかったら、またお越しください。お待ちしてます」
「うん。また来るよ」
片手をひらりと挙げて行ってしまう和正を、祐也はずっと見送っていた。
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