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まだあるよ、と部下に畳みかける和正だ。
「石膏の粉塵を、子どもたちが吸わないようにするためには?」
「マスク、ですか?」
解ってるじゃないか、と和正はさらに笑顔をほころばせた。
「さすが冴えてるな、真鍋くんは。じゃあ、ゴーグルとマスク、そのほか必要だと思われるものを挙げて、見積もりを取ってくれ」
「解りました!」
「企画そのものは、とても素晴らしいんだ。この調子で、頼むよ!」
「はい!」
意気揚々とデスクに戻って行く真鍋を見届けた後、和正は他の社員を呼び寄せた。
「秋山(あきやま)くん、ちょっといいかな」
「はい」
「夏のキッズイベント、副担当は君だったよね。真鍋くんのフォローを頼むよ」
「彼、何かやらかしましたか?」
「初めての主担当で張り切ってるが、細部の見落としが無いように、注意しててくれ」
「承知しました」
秋山が真鍋の元へ行った後、和正は息をついた。
今の若い子は、ちゃんと持ち上げてやらないと凹みが早い。
指摘はするが、いい点は認めて伸ばしてやらなければならないのだ。
「しかし、気を遣うな……」
そう思った時、頭に浮かんだのはあのプラネタリウムだった。
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