第一章 星の青年

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 最後に、星を見上げたのはいつだろう。  学生時代?  いや、もっと若い頃だ。  高校生? 中学生?  ノスタルジックな気分が、どんどんせり上がって来る。  夜空を見上げ、星に包まれ、気持ちを和ませたい。 『皆様、『銀河』へようこそおいでくださいました。わたくし、今回の上映のナレーターを務めさせていただきます、清水 祐也です……』  そして、あの子の。  清水くんの声に、浸りたい。  その日、和正は定時でデスクを立った。 「清水くんがナレーションをするのは、13時、16時、19時か」  19時の上映に行こう、と決めた和正は、コーヒーを飲んで備えた。  カフェインで、今度は眠らないようにしよう、と張り切った。
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