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「鳴滝 和正です。よろしく」
祐也は、差し出された名刺を両手で受け取った。
「夏に、清水くんのプラネタリウムが入ってるビルで、キッズ向けのイベントやるんだ」
だからあの日、ビルに来てたんだよ。
そう言って、和正は寿司をつまんだ。
「イベント会社にお勤めだったんですか」
「いろいろ大変。この年になると、若手も育てなきゃならないし」
「あの、僕に訊きたいこと、って?」
「あ、そうそう。ごめんね、愚痴なんか言って」
祐也にも寿司を勧めながら、和正は素朴な疑問を口にした。
「プラネタリウムのナレーションって、普通は録音したものを流すよね。どうして『銀河』は、肉声にこだわるのかな」
「館長の理念、と聞いたことがあります。お客様とのふれあいを通してのおもてなしを大切にする、って」
それに、と祐也は補足した。
「僕、ナレーションだけが仕事ではないので。上映が終わった後の清掃や、忘れ物の確認。そのほかにも……」
「寝てる人を起こす、とか?」
そうです、と祐也は笑った。
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