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「鳴滝さん、朝ですよ。起きてください」
祐也は、くすくす笑いながら和正にささやきかけた。
あれから、和正は頻繁に祐也の勤めるプラネタリウムを訪れた。
日中は業務があるので、どうしてもくる時刻は19時の上映になる。
祐也にとって、仕事の疲れでいつも寝入ってしまう和正をそっと起こすのは、恒例になっていた。
ただ、今日は勝手が違った。
和正は口の端をにやっと上げて、片目だけを開けて見せた。
「ふふふ。今夜はちゃんと起きてたよ」
「もう。寝たふりだったんですか?」
シートから立ち上がり、和正はビルの南口へ向かう。
和正がそこで祐也を待つのも、恒例になっていた。
少し遅い夕食を、二人で食べる。
和正にとっても祐也にとっても、それは楽しいかけがえのない時間になっていた。
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