よそはよそ

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なんでうちのお父さんはこんななんだろう。 私の友達のお父さんは、塾まで毎日送り迎えしてくれるんだって。 別の友達のお父さんは、悩みごとがあると真剣に話を聞いてくれるんだって。 いいなぁ~あ。 うちは父子家庭だけど、お父さんは仕事から帰ってくると、 『めし・風呂・寝る』しか言わない人で、 ちっとっも私を愛してくれない。 送り迎えとか、悩み相談とか、 もうちょっと私のために行動で愛を示してくれればいいのに。 友達のお父さんが私のお父さんだったらなあ。 視界が暗転した。 気が付くと、知らない天井だった。 ナースキャップを被ったお姉さんが、私をのぞき込む。 「気が付いた? あなた学校で脳内出血おこして、救急搬送されたのよ。 お父さん、2週間も会社を休んで、つきっきりで看ていてくれたんだから。 いいお父さんね。」 横を向くと、お父さんがはじめて泣いていた。 泣きながら、「よかった。」と言った。 びっくりした。 お父さん、今まで愛情に気づけなくて、ごめんね。 ありがとう。私は私のお父さんが一番いいな。
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