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…それにしても、なんで内緒なんだ？もしかして、昔の男から取った字とか？
だったら笑えねえな。旦那、不憫すぎんだろ。
知り得もしない他人の家庭事情に勝手な思考を巡らせては、そこに記された文字にもう一度視線を落とす。
「奇遇だな。俺にもお前とおんなじ字が入ってる」
「そうなの？」
「ああ。太陽の“陽”って書いて、あきらっつーの」
「陽…？」
「そ。って、んなことどうでもいいよな」
強制的に話を切り上げて、どうしたものかと考えあぐねる。とりあえず一か八か、この番号に発信してみるべきか。そう思い、ポケットからスマホを取り出した。
「今日、お母さんと来たのか？」
「うん」
その子供が頷くのを確認してから母親であろう名前の横に並んでいる、“０９０”から始まる１１桁の数字を画面に打ち込んでいく。
あと３つの数字を残したところで、俺の指がぴたりと止まった。
…ちょっと、待て。
この番号――…
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