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「まじか、よかったな。おめでとう」
「へへ、ありがとうございます」
ぺこりと浅く頭を下げた田辺は前に視線を向けながら、口を開いた。
「俺んとこデキ婚だったんで当初はすげえ不安だったんですけど…挨拶に行った時、嫁の母親が言ってくれたんすよね」
前を見据えるその瞳はどこか遠い日を思い出すようなものだった。悲しい何かじゃなく、きっと温かい何かを思い出すような、そんな目だ。
「世の中にはどんなに望んでも子供を授かれない人だっているんだから、胸を張って喜びなさいって。そんで生まれてくる子を目一杯愛してあげなさいって」
「…」
「なんかそれで不安が吹き飛んだっていうか…腹括れたみたいなとこあるんすよね」
そう言った田辺の瞳がちらりと此方に向けられる。
「あ、真島さん笑ってる。クサイとか思いました?」
「いや、いい親御さんだなと思って」
思った通りの感想を言えば田辺はまた首裏を掻きながら、へへ、と照れ臭そうに笑った。感情の全てが顔に出てしまうような、素直で実直なこの男は見ていて飽きない。きっと奥さんもこいつのこういう所に惹かれたんだろう。
そう思いながら、再び口を開く。
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