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『もう、無理だよ…』
どうしてそこまでその存在を求めるのか、正直俺には理解できなかった。
子供がいなくたって、2人で居られればそれでいいんじゃないかと何度も思った。一生その時を迎えられなかったとしても、俺にはあいつさえ居ればよかった。
それが、ダメだったんだろうか。
『私、あっくんのこと、“お父さん”にしてあげられない』
俺もあいつと同じくらい、強く望めば良かったのか。自分を見失うほど無我夢中に、心を保てられなくなるほど一心不乱に、強く強く望んでいれば、手に入れる事が、出来たのか。
そんな事を今でも数え切れないほどに考えてしまう。
『…あっくん』
俺を呼ぶその声を、何度だって思い出してしまう。
『別の人と、幸せになって』
確かなものを幾つ集めても、たったひとつの不確かなものに敵わなかった。
その事実だけが唯一変わる事なく、いつまでもこの胸に存在している。
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