もう忘れない

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 父が死んだ。  何というか、あっけない死だ。  別に病気や事故死とかの慌てふためくものではなく、何というか呆気ないものだった。  牡丹の花がころんと落ちるように、それは呆気なく。  私は父の生涯がどのようなものかというものはわからなかったが、私の目の前でころんと逝ってしまう父は、案外、つまらない男なのだと思ってしまった。
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