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次の日、高橋君に呼び出されました。正直、私を呼び出した時の表情から、何を言われるかはわかっていました。
「好きです、付き合ってください」
私は高橋君に特別な感情を抱いたことはありません。しかし恥ずかしそうにする高橋君を見て、私は尋ねました。
「なんで赤い石のやつ、選んだの」
高橋君は一瞬驚いた顔をすると、言葉を選ぶように丁寧に告げました。
「僕、女の子に何かをあげるってした事無くて、店員さんに聞いたんだよ。そしたらこれはどうでしょうか、って言われて。赤って、女の子っぽくて可愛いし、ハナがつけたら似合うだろうなって」
高橋君の口が閉じると、暫しの沈黙が流れました。そして、再び高橋君は口を開きました。
「やっぱり、女の子らしいものが良いでしょ」
付け加えられた言葉を聞いて、私はワイシャツに隠されたネックレスを首から取ると、高橋君に差し出しながら言いました。
「ごめんなさい」
女の子らしさとはなんでしょう。
赤色で埋め尽くされた人生に、女の子という生き方に、
私の好きな色を塗る日は来るのでしょうか。
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