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クラシックが次第に大きくなっていき、天井に星々が映し出される。
星降る夜に、というだけあって、音楽に合わせて星が流れていく。
星の洪水に雅人さんと二人で沈んでいるみたい。
夕実はふふ、と笑みをこぼしてから、顔を引き締めた。
いけない、賭けを忘れる所だった。
お出かけ三回目。
雰囲気ばっちりのプラネタリウム。
前に進みたいと思わない方がおかしい。
会話や仕草から、たぶん雅人さんはお付き合い経験ゼロに等しい。
このままでは、現状維持で終わる。
だから、私は賭ける。
雅人さんから、手を繋いでくれるかどうか。
もし、プラネタリウムが終わるまでに繋いでくれなかったら。
その時は、諦めよう。
これだけお膳立てしても駄目なら、可能性はない。
もぞり、と雅人が動いたので夕実は小さく息を呑んだ。
暗いなかでも、目が合ったのが分かる。
雅人の瞳の中に、星が流れた。
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