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夕実は心の中で、事実を認めた。
次第に笑いがこみあげてくる。
ふふふ、と肩を揺らす夕実に、雅人は心配そうに声をかけてきた。
「嫌、だったかな?」
「いいえ、全然。大丈夫ですよ」
答えながら、夕実は笑いをかみ殺した。
「なら、良かった」
ホッとしたような雅人の声が、夕実の心に染み渡る。
負けた。
色々な意味で、負けた。
夕実は期待を込めた瞳で、星空を見上げる。
ここを出たら。
夕実は決意した。
ここを出たら、私から手を繋いでみよう。
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