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to:セーオット
from:メジロと友の会
よぉ、セーオット。
最近、甜瓜替市(そっち)の方はどうだ?
甜瓜替(てんかたい)市は今、結構ヤバいことになっているみたいでこっちとしてもいろいろ心配なんだよ。
でも、どうすることも出来ないからせめてメールやチャットで喋ることしか出来ないんだよな。
それにしても、人間って叶わぬ夢や願いを抱くこと…危険から生命を助けられてその対価を支払うこと…生きていても自分の限界を悟ってなお生きなければならないと感じたとき…生きる事が虚しくなったときはたくさんある。
その時、短くとも長い生涯をどう生きれば幸せになるんだろうな?
関わりたくないと捨てて忘れてしまえれば、楽になれる…けれど捨ててしまったものがいずれ別の場所で他の誰かを傷つけると考えると見過ごす事が出来ない。
俺たちは自分たちの世界を他人任せにしたくない…だが、それでも託すしか出来ない。
傲慢で、酷い話だよな…自分たちから信じなくては先に進めないというのに。
世界は終わるかもしれない…生き物に心がある限り、完全に縛ることは出来ないから絶対という可能性はない。
言葉も、態度も、価値観も…離れたすべてが重なることはない。
人間と異能は、かつてから互いを守るために距離を置きすぎた…今から両者が分かりあうまで多くの血が流され、血が更なる争いを呼ぶんだろうな。
『リーヴル』は決して、お前たちを逃がさない…そして、もう時間がない。
だからこそ、俺たちはすべてを捨てるしかない…それが生命を救われた生き物としての代償だと思っている。
どんなものにも、対価と代償がある。
何も差し出さないで、手に入れられるものは何もない。
あの方は、俺たちの魂に価値と行き先を与えてくれた…無下にされるよりよほど嬉しいじゃないか。
だから、お前たちは先に待っていてくれ。
いずれ、空の向こうで会おう。
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