理想が壊れる時

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(さて、どうしたものかな。) 雅哉はさらに考える。 具体策を考えるのは苦手だが、やるしかない。 とりあえず、マップから陽動しやすい場所をいくらかピックアップしていろいろデッチ上げてそれから…。 学校のグラウンドとか、体育館のプールとか雅哉は嘘をひたすら一人で考え…。 しかし、世の中そんなに甘くはなかった。 ピロリン♪ メールが一通届いた。 タイトル:件名はありません 本文 お前に動いてもらおうと、あちこち動いて待っていたら…こんな手に出るとはな。 お前はHIGAMIオンライン甜瓜替市支部長…天追雅哉、だったか。 お前らは知りすぎた…そもそも逃がすつもりはない。 それだけの文面だが、読むと急に意識が真っ暗になる。 身体が冷える…一気に恐怖が心に染み込んでくる。 やっぱりバレてる…それだけのことなのに、すでに予想がついていたことなのに、これから自分の身に起こることの予想がついて自分の心のすべてが解体されていくような恐怖の予感をまざまざと感じたのだ。 どんなものにも、対価と代償がある。 メジロと友の会さんの文面が甦る。 雅哉は理由はどうあれケンカを売ったんだから、潰される覚悟はしなくてはならない。 足元から引きずられる感覚…幻術か召喚術のどちらかだ。 覚悟は出来ている…だが、払う代償が何なのか。 誰かに迷惑がかからなきゃ良いな…心配なことはそれだけである。 人の心理を察することに長けたリーヴルがお人好しな雅哉にやらせることなど、おおかた察しがつく。 知りすぎた情報とともに、仲間を売ることだ。 一番残酷な仕打ちで敵の心を壊す…壊れた後は立ち上がることもなくなる。 リーヴルとは、そういう奴だ。
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