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「くくっ、あのリーヴルを出し抜こうと考えるあたり、どんな偏屈かと思ったらなかなか礼儀正しいガキじゃないか。 俺は相羽宰だ…リーヴルとは昔から因縁があるんだ。」 男は、雅哉から離れて可笑しそうに笑いながら自己紹介を始める。 リーヴルと因縁があるとは、おそらくこの世界の生き物じゃないな。 だが、見た目は完全にこちらの世界の人間に合わせている。 名前は、「皮」の方か偽名かは分からないが…違和感がまったく感じない。 それでも、異界の存在…リーヴルによる封鎖は彼が解いてしまっていたりする。 「千手策聖架様からの要望で、懇堅祈塞様にリーヴルに対抗するための同盟を持ちかけるために手土産が欲しかったんです。 ただでさえ、条件の厳しい交渉で…。」 調べられているので言い逃れは出来ず、正直に懺悔する。 「それでリーヴルにケンカを売ったのか。 情報だけでも、結構美味しいはずだが町の人間の救助も考えると無理に助けは求められんな。 ヌシ同士の同盟となると、確かに町を封鎖するわな。 大盟約が崩壊したことで千手策聖架が動いたと考えていたが、生命がけで縄張り争いしていたやつらがいきなり同盟なんか結んでたの?」 大盟約の不可侵条約は堅固に守られたが、ヌシ同士の同盟は前列がない。 リーヴルが現れたからかもしれないが、そういう意味では由々しき事態である。 「まぁ、少し前に檸檬降市でいろいろと。 万神同盟の盟主は檸檬降市ですが、同盟に持ち込む計画の発案はそこに住んでいる女子高校生一人ですから。」 少し恥ずかしげに雅哉は答える。 「…そりゃリーヴルも躍起になるな。」 世の中、何が起こるか分からない。 長い間、人間やたくさんの生き物を見ていたりいろいろちょっかいかけるだけの退屈な生活ばかりだったが…こんな番狂わせがあるから世界は面白い。 「はは、最強の異能犯罪者が女子高校生一人に出し抜かれたか。 そんなもんを放置していたら、実力主義の犯罪者の中では寝首をかかれかねん非常事態だからな。」 あまりにも愉快な出来事にこらえきれない大爆笑する宰。 実のところ、千手策聖架が雅哉を動かしたのはもう1つ理由がある。 万神同盟の盟主は檸檬降市だが、同盟相手とはいえ女子高校生が作った団体に従うのはちょっと悔しい。 今の彼女の身体も女子高校生だが、もとの身体の持ち主が負けず嫌いなので雅哉を通して同盟相手に張り合っていたことは秘密だ。
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