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リーヴルというのも仮名で、姿すら固定しない『それ』はこの甜瓜替市に目をつけた。
結界にて町が封鎖されて1週間が経つが、町の人間が明らかに少しずつおかしくなっている。
一般人の気力が、日を追うごとに自堕落となってきたのだ。
非常識な異常事態に救助はすでに諦めているだろう…それだけならまだ良い。
「今日の生け贄は誰だ?」
「隣の家のお兄さんだ。」
人間の心理を察することに長けたリーヴルは洗脳術は使わない。
術で操られてる訳でもないのに、人間としてのモラルやプライドがぶっ壊れた言動を自ら進んで行う人間たちを見るたびに雅哉の中の信念が音を立てて壊れていくのを自身の身で感じていた。
おそらく、これも『浄罪』なのだろうなとすべてを知る雅哉は考えている。
異界の者とはいえ、リーヴルも異能…人間を生命を背負って守る価値があるかと問われたら彼女は否と答える事ができる。
リーヴルについた異能力者はすべて人間の加護という使命から『解放』されたと、雅哉はチャットやメールで知った…自分たちも一方的な異能のやり口をよく知っている。
まぁ、そんな話はともかく…雅哉はこのまま黙って死を待つつもりはない。
リーヴルが無作為に選んだ町をひとつ封鎖して終わりとするわけがない…確実にこの町の人間全員を爆破のエネルギーにするような大きな目標がある。
目標はおそらく万神同盟(ばんしんどうめい)だ…そうなったら、最悪被害は日本中に及ぶ。
すべてを知りながら、連携は不可能でも彼はもともと一人で動く覚悟で生きている。
てか、雅哉の諸事情改め…サイト主の意向とか人が絡むとコトが終わった後の権力関係の変化とか、協力した時の報酬や処遇のゴタゴタとかでなんか町が危ないことになるから嫌だ…異能力者のスケールっていろいろ激しいから。
静かかつ、穏便に…それが雅哉のモットーなのである。
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