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「遅くなりました」 「新薬、どうでした?孝司先生の反応は」 「その件は……見込みはないかと」 見込みどころか、担当MRを代わってもらわなければいけないところまで話は発展してしまった。 「そうですか…ま。今日はたんぽぽ薬局さんがほぼ決まりになりましたし、今度は橋本先生のところも待ってますからね。メガトロンは期待高いお薬ですし、まだまだ売る先はありますから」 「ありがとうございます。もっと良くできるように資料見直します」 「うん。頑張って」 デスクに戻って、資料の整理をしたらもう帰る時間だ。時刻は夕方の5時半を回っている。 朝はこんなスケジュール軽い方だと思ってたけど、まさか孝司にあんなことを言われる日になるとは想像もつかなかった。 個人的になってしまうが、たんぽぽ薬局さんがほぼ決まりになった喜びよりも、孝司との会話の方が頭に焼き付いて離れない。 またケータイが胸ポケットで震えた。 今度はなんだ?孝司からだったら、絶対出ないぞ……と思って開くと、たんぽぽ薬局さんから。 なにか問題があったか?急いで電話に出る。 「はい、アース製薬の小林です」
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