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「仕事、直帰でしょ?この前家族で箱根に行ってきたんだけどね、その時のお土産がいっぱいあんのよ。うち、お菓子とか目がなくてさ。奥さんがね。いっつも余って人にあげちゃうもんだから、本当に、食べてってくれるとありがたいんだけど」
「……では、頂いていってもよろしいですか?」
「うんうん。じゃ、中入って。俺は在庫確認してて、妻はもう家で飯作ってるから。紘ー?小林くん来たわ!」
「はーい!」
「じゃ、ゆっくりと。紘も同じくらいの歳の話し相手が欲しいんじゃないかな。小林くんも、あんまり頑張りすぎずに」
「ありがとうございます」
薬局の裏口から入ると、すぐに薬剤師達の休憩スペースがある。
そこに神湯紘さん……ここの薬局の息子さんがお茶を飲みながら待っていた。
紘さんは僕をみて笑顔になって(なぜ?申し訳ないな……)、僕の分の椅子を引いてくれた。
二人でテーブルにつくと。
「まずは名刺たちね」
出てきたのはやっぱり僕の名刺入れ。
「ホントに……いつ忘れていったんだか」
「入れ物、それ藍染めですか?」
「そうです。空港で買ったものなんですけど」
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