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「こんにちは。アース製薬の小林です。赤坂孝司先生から会社にご連絡頂いたようで伺いました」 「少々お待ちください」 普段こんなことはないので、事務の職員も少し戸惑っていた。 三分ほど待って、わりとすぐに案内された。 いつも薬の紹介をするときは基本的に診察室か休憩室だが、今日は病院の奥の会議室。 案内してくれた事務さんに軽く会釈をして、部屋のドアを開ける。 そこには、今一番会いたくない人が待ち構えていた。 「……こんにちは」 「他人行儀だな。この部屋は防音だから、自由に話していい」 「今日はそういう話をしにきたわけではないので。メガトロンですよね?説明いたしますので……」 「優斗」 その声で、その名前で、今は呼ばれたくない。 僕はふいと目を逸らすと、孝司はいつもよりなぜか落ち着いた様子で話し始めた。 「俺がわざわざ製薬会社に電話入れるなんて、するはずないだろ?昨日のことで話がしたかったんだ」 やっぱり、そういうことか……。 悔しいけれど、この病院では孝司に逆らうことはできない。 この場で医者とMRという関係じゃなかったら、今すぐにでも逃げ出すのに。
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