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ふと、テーブルの上の教科書が目にとまった。
いつのまにか、ビリビリに破られてしまっている。
「ちょっとユイ。どうしてくれるんだよ……」
「ユイじゃないもん。ミサちゃんがやったんだよ」
ユイは、ムッとした顔をした。
ミサのほうを振りかえると、朔也のスマホを口にくわえている。
「うわあ!」
朔也はミサに飛びついた。
チビのくせに、ものすごい力で握りしめて、離そうとしない。
「だめ! 返しなさい!」
「だあ!」
ミサの目が、不愉快そうに細められた。
あ、まずい。
そう思ったとたん、ミサが泣き出した。
朔也は頭をかかえて、ユイを振り返った。
「ユイ。どうしたら……」
「知らない!」
ユイはつんとして、リモコンを手に取った。
魔法少女なんとかが、画面からプツリと消える。
朔也はしかたなく、ぐずるミサを抱き上げた。
体を上下に揺さぶってみると、きゃっきゃと笑い声をあげる。
泣いたり、笑ったり、赤ん坊とは忙しいものらしい。
思わずため息をつくと、「あはーん」となにやら悩ましい声が耳に入った。
「ん? なんだ?」
ミサを抱いたまま、朔也は振り返って、仰天した。
テレビ画面の中で、下着姿の男女が睦みあっている。
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