オレンジ彗星

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 フットワークの軽い繭子はすぐに車でやって来た。 「そこのコンビニから食料調達して来たからバッチリだよ! まさに一生食べられる量だよ」 「さすが繭子!」  私が車に乗り込むと繭子は思い切りアクセルを踏み込んだ。 「お巡りさんももう何処にもいないからスピード出しても全然平気なんだよ〜」 「世界中がサーキットと化したか。素敵だね〜」  私たちはご機嫌にドライブを楽しんだ。そこかしこで車が炎上している。みんな考える事は一緒だ。最後くらいは全開走行してみたかったのだろう。しかし技術の無い奴らは地球滅亡を待たずに燃え尽きていた。 「でも最後の日に私と一緒でいいの? 彼氏は?」 「裕也? アイツは怯えて閉じこもってる。あんなヘタレだと思わなかった」 「そうなんだ。美由紀の彼氏、俺様的だったのにね〜」 「そうそう。男っていざとなると弱いんだね」  そんな話をしているうちにカラオケ屋に着いた。しかし駐車場はいっぱいだった。もちろん店内も満員状態だった。 「みんな考える事は一緒なんだね。最後くらい歌って楽しみたいんだ」 「歌ってる間に地球滅亡するなら怖くないもんね」  それから何件かのカラオケ店を回ったが、どこも満員だった。
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