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やがて、瞬く間に数日の時が過ぎて行った。
「パパ、なるべく早く来てね!」
「うん、わかった。
なるべく早く行けるように頑張るから……
それまで、小太郎……元気でな。」
「パパも元気でね。」
小さな身体を抱きしめて、僕は泣きそうになるのを懸命に堪えた。
結局、僕もあとで向こうに行くという嘘を吐くことで、ようやく小太郎は引っ越しを了承した。
大半の荷物はすでに送り出し、大きな紙袋をいくつか持ったなっちゃんと、どうしても自分で持って行くと言って、青いランドセルを背負った小太郎が、亮介さんの車に乗り込んだ。
「パパー、絶対だよ!
絶対に早く来てね!」
「うん…わかった。」
車の窓から差しのべられた小さな手をぎゅっと握りしめ……
「さ、じゃ、出発するぞ。
じゃあね、優一君!
近くだから心配はないから!」
僕は、小太郎の手を離した。
どんどん小さくなる車の姿……その中で小太郎がずっと手を振っているのがうっすらと見える。
(小太郎……)
僕は手を振りながら、早く車が見えなくなってくれと願っていた。
見ているのが辛くてたまらなかったから……
二人が去った後の家の中は、いつもよりずっとがらんとしていた。
小太郎が幼稚園に行き、なっちゃんが出勤した後の家とはやはり何かが違う。
これからは篠宮さん親子が来るとはいえ、僕はこの寂しさに耐えられるのかどうか、自信がなくなる程の喪失感を感じた。
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