穏やかな日々…優一

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穏やかな日々…優一

「行って来ま~す!」 「行ってらっしゃい! 気をつけてね!」 家の前で手を振る母親は、髪もぼさぼさでまだずいぶんと眠そうな顔だ。 そんなことは気にも留めず、息子は笑顔で応える。 僕の右手には小さな手が繋がれて、歩調に合わせてそれが上下に動く。 幼稚園バスの停留所まではほんの数分。 「今日も良い天気だな。」 「うん、洗濯日和だね。」 そんな言葉、一体どこで覚えたのか…… 僕は、込み上げる笑いを噛み殺した。 「あ、翔くーん!」 「小太郎くん、おはよう~!」 子供達は、大きな声で挨拶を交わす。 「おはようございます。」 「あ、堤さん、おはようございます!」 すでにそこには、同じように大人に手を引かれた子供達が集まっていた。 「あ、バス来た!」 奥さん達とのおしゃべりは苦手だから、僕はいつもギリギリにそこへ向かう。 今日も抜群のタイミングだ。 バスが着くと、子供たちは慣れた様子でそれに乗り込む。 「いってらっしゃい!」 皆でお見送りをしてから、僕は早足で今来た道を戻って行く。 いかにも忙しそうなふりをしながら……
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