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1話 開琉、初めて召喚される。(1)
「ではラギ、召喚獣を探しておいで。無事に戻れるよう祈っているよ」
師匠はそう言ってラギを異界へ送った。
魔法を使える種族ならいくつかある。しかし、魔法使いとして仕事を得るにはそれを証明する物が必要だ。
異界の生き物を召喚獣としてこの世界に引き寄せる力、それは魔法使いとして認めるに値する認定カードのような物だった。基本的な魔法が即座に使えるかチェックされ、試験の最後の最後が召還すること。
合格すれば魔法使いのローブを着ることが出来る。それは魔法協会認定の証。
もう合格は目の前だった。
(晴れて魔法使いとして認められる!)
ラギは意気揚々と異世界へ繰り出した。
送り出されたラギはいくつかの世界を転々と探し回っていた。だが、どの世界に飛んでも閑散としていて召喚獣になりえる者の姿すら見つけるのが難しかった。
「なんだこれ、ずうたいばかりデカくて無能そうだ」
やっと見つけたのは巨大なムカデに似た生物、相手を威嚇するには使えそうだった。しかし単純な会話しか出来ず感情が読みにくいのが難点でやめた。
その後もいくつか見つけたけれど、小さすぎたり臆病者だったりで納得のいく生き物になかなか出会えない。時間ばかりかかってラギはだんだんイライラしてきていた。
「もっとまともなのはいないのか?」
召喚獣を見つけて戻るだけ・・・・・・のはずが、こんなに難航するとは思ってもいなかった。
「ん? あれは・・・」
ある異世界でラギの目にひとりの生き物が目に止まった。
「サイズはいい感じ、体の造りもまぁまぁという所か」
ラギの世界にいる“人間”という種族によく似ている。
遠くからラギがじっくり観察していたのは、とある世界の太陽系にある地球という星に住む生き物。
「この世界は俺の世界によく似ている。あれは今までの生物に比べたらましかもしれない、コンタクトとってみるか・・・・・・」
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