弟のいいなり

episode.2

　可愛い八重斗とこんな関係になるなんて、誰が想像できたか。もしかしたら空で見守ってくれてる両親は知っていたのだろうか。

　少し前の八重斗なら、例えば「おかしな夜って、どんなお菓子？」と、ダジャレを言うくらいとても可愛らしかった。

　あれから八重斗とは、毎日少しおかしな夜を過ごしている。

　可愛らしさはそのままなのだが……

「いお兄！おかえりなさい、お風呂にする？ご飯にする？それとも……ボク？」
　短パンに長袖のTシャツ、まだ少し大きい子供用エプロンと、至って普通の装いで安心出来るいつもの可愛い笑顔で出迎えてくれる。そして、その口から出た言葉もどこで覚えたのか、はたまた新婚の真似っ子でもしてるのだろうか。
「ただいま、八重斗。そうだね、お腹すいたかな。今日のご飯はなに？」
「いお兄、ボクまだ小さいから何も作れなかった……ボクもお腹すいた！」
　一瞬眉下げて気持ちのゲージが下がったように見えたが、直ぐにパァっと明るく笑顔をみせ、お腹を抑えて空腹を訴えてくる。タイミングよく八重斗と自分のお腹の虫の声も鳴り響く。
「よーし！兄ちゃんもお腹空いた。今日は八重斗の好きな物作るよ、何がいい？」
「えっと、オムライスがいい！ケチャップは自分でやるー！」
「わかった、わかった。じゃあ兄ちゃん作ってくるから座って待ってるんだよ」
「はーい。……たぶん」
　大きな返事の後、何か聞こえた気がするが、特に気にはしない。

　そしてこの時、八重斗の表情が豹変していたことにも気づかなかった。

　今までの可愛い八重斗だ……と、安堵しネクタイを弛め、ワイシャツの袖は数回捲りする。そして母親が使っていたチェック柄のエプロンを着用するとキッチンへ立つ。

　もう何年もキッチンに立ってご飯を作ってきただけあって、オムライスも手際よく作り、出来たチキンライスに、半熟のトロトロ卵をふんわりとのせていく。2人分のオムライスが出来ると使った調理器具を洗おうとキッチンのシンクで作業を始める。すると、踏み台を持ち弟がキッチンへやってきた。
「いお兄、ボク手伝いする！」
「そうか、じゃあ洗ったものを拭……っ！？」
　手伝ってくれるなんて……と、関心していたのもつかの間、八重斗の小さい身体は、シンクの扉と両足の僅かな隙間にすっぽりと入り、スーツのズボンと下着を一気に下へ降ろす。その手際の良さも驚きだが、このタイミングも流石だ。
「いお兄、降ろしただけで勃たせてるの？可愛い変態お兄ちゃん！」
「こっ、こら！キッチンでこんな……や、め……っ！」
「ヤダ、止めないよ？洗い終わるまでイッちゃダメだよ、いお兄。できるでしょ？」

　待ってくれ！

　待ってくれ！！

　……待ってくれ！！！

　理解する前に身体が早速欲しがって勃起している。素直な反応に思考が追いつかない。

　止めたい……でも、苦しいからもっと──