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「佐々本くん、今日うちの部署に入って来た新卒連れてきたんだけど」
総務課に所属する男性社員に俺は声をかける。
「ああ、真島さん。社員証の発行の件ですよね? 少々お待ちを。佐倉さん、頼める?」
「はーい! じゃあ、こちらに来て頂けますか? お写真撮りますので」
「は、はい」
まだかちこちだな、手嶋くん。
「これが彼の分のIDカードとネームホルダー。撮影終わったら渡して貰えますか?」
「ああ。ありがとう」
「そうだ、真島主任。久々にまた飲みに行きましょうよー? 良い店見つけたんで」
「あー……暫くはバタバタするからなぁ。5月以降でも良いか?」
「全然構いませんよー。相変わらずお忙しいんですね?」
「まあな。受け持つ案件数増えたし、見ての通り新人の教育もあるからさ」
それに、総務課を含めた飲み会は少し憂鬱だった。前に総務課のメンバーと飲んだ帰りに若い女性社員に突然告白されてしまったし。
振ったけど何となく諦めてない雰囲気醸し出してるんだよな、あの子。今も見られてるし。
「撮影終わりました! 社員証発行出来たらお渡ししますね」
「ああ、ありがとう。戻ろうか、手嶋くん」
「はい……」
手嶋くん、すごく疲れた顔してる!
「大丈夫?」
「上手く撮れなかったかもしれません……社員証の写真。社員証って同じの何年も首から下げるんですよね?」
「まぁ、ああいう社員は上手く撮れないもんなんじゃ? 俺もあまり写り良くないぞ?」
「ま、真島主任は素敵に写ってます!」
「あ、ああ……ありがとう」
手嶋くんくらいの若い子は皆写真撮る度、画像加工アプリとか使うし、やっぱり写りとか気になるんだろうな。
「あ、あの……」
「ん?」
「ずっと気になってたんですけど、俺の髪型ってまずくないでしょうか?」
「パーマ? 別に気にならないぞ。うちはそこまで口煩くない会社だからな。それに、就活生の時の髪型よりそっちのが手嶋くんに合ってる気がする」
「ま、真島主任はこっちの髪型のがお好きなんですか?」
「ああ。可愛いと思う……」
あれ、何言ってんだ! 俺!
「そ、そういう発言さらりとするからモテるんでしょうね」
「えっ? あ、そうだ。これ、佐々本から貰ったんだ。ネームホルダーとIDカード。IDカード無いと出入り出来なくなるからちゃんと首から下げといてな」
「ありがとうございます」
何だろ、さっきから俺はおかしい。
10も下の男の子に可愛いって思うとか……。
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