第2話 可愛すぎる子犬が我が社にやってきた。ー真島side

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「佐々本くん、今日うちの部署に入って来た新卒連れてきたんだけど」 総務課に所属する男性社員に俺は声をかける。 「ああ、真島さん。社員証の発行の件ですよね? 少々お待ちを。佐倉さん、頼める?」 「はーい! じゃあ、こちらに来て頂けますか? お写真撮りますので」 「は、はい」 まだかちこちだな、手嶋くん。 「これが彼の分のIDカードとネームホルダー。撮影終わったら渡して貰えますか?」 「ああ。ありがとう」 「そうだ、真島主任。久々にまた飲みに行きましょうよー? 良い店見つけたんで」 「あー……暫くはバタバタするからなぁ。5月以降でも良いか?」 「全然構いませんよー。相変わらずお忙しいんですね?」 「まあな。受け持つ案件数増えたし、見ての通り新人の教育もあるからさ」 それに、総務課を含めた飲み会は少し憂鬱だった。前に総務課のメンバーと飲んだ帰りに若い女性社員に突然告白されてしまったし。 振ったけど何となく諦めてない雰囲気醸し出してるんだよな、あの子。今も見られてるし。 「撮影終わりました! 社員証発行出来たらお渡ししますね」 「ああ、ありがとう。戻ろうか、手嶋くん」 「はい……」 手嶋くん、すごく疲れた顔してる! 「大丈夫?」 「上手く撮れなかったかもしれません……社員証の写真。社員証って同じの何年も首から下げるんですよね?」 「まぁ、ああいう社員は上手く撮れないもんなんじゃ? 俺もあまり写り良くないぞ?」 「ま、真島主任は素敵に写ってます!」 「あ、ああ……ありがとう」 手嶋くんくらいの若い子は皆写真撮る度、画像加工アプリとか使うし、やっぱり写りとか気になるんだろうな。 「あ、あの……」 「ん?」 「ずっと気になってたんですけど、俺の髪型ってまずくないでしょうか?」 「パーマ? 別に気にならないぞ。うちはそこまで口煩くない会社だからな。それに、就活生の時の髪型よりそっちのが手嶋くんに合ってる気がする」 「ま、真島主任はこっちの髪型のがお好きなんですか?」 「ああ。可愛いと思う……」 あれ、何言ってんだ! 俺! 「そ、そういう発言さらりとするからモテるんでしょうね」 「えっ? あ、そうだ。これ、佐々本から貰ったんだ。ネームホルダーとIDカード。IDカード無いと出入り出来なくなるからちゃんと首から下げといてな」 「ありがとうございます」 何だろ、さっきから俺はおかしい。 10も下の男の子に可愛いって思うとか……。
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