第2話 可愛すぎる子犬が我が社にやってきた。ー真島side

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手嶋くんを連れて入ったイタリアンレストランは1000円以内でスープやサラダ、ドリンクのついたランチセットがあり、よく会社の女性社員達が行くような店だ。 手嶋くんくらいの若い子を最初に連れて行くには丁度良いと思い、この店を選んだ。 一人でこの店に行くと、女性社員達に捕まるので今日、手嶋くんがいるのはありがたい。 「真島主任は何にされますか?」 「俺はスープとサラダとドリンクがつくAセットでクリームパスタ。手嶋くんは?」 「俺も同じAセットでパスタはトマトパスタにします」 「了解。すみません、注文宜しいですか?」 しかし、10も下かぁ。弟とは7つ離れてるけど……それよりも下だもんな。 何話したら良いんだろう? 「美味いか?」 「はい、美味しいです」 料理が来ると、手嶋くんは嬉しそうに食べている。 良かった、レストランは気に入って貰えて。 「手嶋くんって学生時代はサークルとか入ってた?」 「い、いえ。大学はバイトくらいで。高校まではバスケやってたんですけど」 「へぇ。確かにバスケ部って感じだな、長身だし。バイトは何やってたんだ?」 「派遣型のアルバイトを結構やりました。ライブの警備とかイベントスタッフとかサンプリング」 「へぇ。色々やってるんだな。長期のバイトは?」 「ふぁ、ファーストフード店にいた事はありますけど、店長が厳しくて辛くなって……」 やっぱり繊細な子なんだなぁ。 「パワハラ上司ってやつ?」 「けど、俺がだめだめだったので」 「大丈夫。俺もさ、昔パワハラに遭って散々だったから手嶋くんには同じ思いはさせないよ」 「えっ?」 「手嶋くんにはたくさん優しくするから」 「真島主任……」 「ビクビクしなくて良いよ。まあ、最初はどうしても緊張するだろうけど」 「真島主任はやっぱり素敵な人ですね」 またキラキラした瞳で見られてる。 「そ、そんな事はないっ」 「俺、この会社に入って真島主任にまた会えて良かったです」 「えっ?」 「ずっと真島主任にまた会いたいなって思ってましたので」 「そ、そうか。俺も手嶋くんが部下として来てくれて嬉しかったよ」 やべぇ、手嶋くんがやたら眩しい。 22歳の若さと爽やかさに圧倒される32才のおっさん。
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