第2話 可愛すぎる子犬が我が社にやってきた。ー真島side

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「手嶋、アイス買って来たぞー」 「わぁ、ありがとうございます! 真島主任っ。しかも高価なアイスじゃないですか!」 ゴールデンウィーク前の最終出勤日、俺は手嶋に高価なアイスを買い与えた。 すっかり彼も部署に馴染み、俺も彼の事を手嶋くんから呼び捨てに変えた。 たまたま俺も苺味が久しぶりに食べたくなったし。 「まぁ、入社して1か月近く頑張ったからな」 「わーい、アイス、アイス!」 「あれ、手嶋くん。またアイス? さっき私があげたゴリゴリくん食べてたのに」 女性社員がアイスを食べようとする手嶋に声をかける。 「手嶋、没収」 「やーだぁ! アイスもう一個食べるぅ!」 「腹壊すだろ。後日にしろ」 「ゴールデンウィーク明けになっちゃいます! かちこちなアイスはやーだぁ!」 「ほら、てしまるいくんのってマジックで書いて冷蔵庫入れておくから。せめて時間置いて食え」 「今食べたいのー! 真島主任の鬼ーっ」 甘やかしすぎたからか、かなりワガママな部下となってしまった。というか、これが手嶋の本性かもしれない。 「こら、手嶋っ」 「もう開けちゃいましたもんねーだ!」 「はぁ、腹壊しても知らないぞ」 「そしたら真島主任のお薬貰うから大丈夫です」 「俺頼りかよ」 「だって真島主任、お腹が弱い手嶋の為にお薬持ち歩いてるじゃないですか。だから、良いんです」 「腹壊さない努力しろ」 「真島主任から貰ったアイス、美味しいうちに食べたいんです。かちこちなアイスを食べさせるのはパワハラですよ? 真島主任」 「何がパワハラだ。はぁ」 すっかり忘れていた。母親に弟や飼い犬を甘やかしすぎてると注意されてたのを。 今や弟はしっかりした嫁さんに引っ張って貰わないと何も出来ないようなだめだめな男だし、飼い犬は俺がおやつをよくあげたせいで食いしん坊になってしまった。
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