第2話 可愛すぎる子犬が我が社にやってきた。ー真島side

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「7時丁度に着いたのは俺と真島主任だけですね」 「ああ。まだ仕事してるみたいだな、皆」 予約していた居酒屋には7時丁度に着いた。 「真島主任は俺の隣」 「はぁ? お前なぁ、たまには他の社員とも……」 「だって真島主任を酔わせる計画が!」 「無理だから」 「それに、真島主任に隣にいて欲しいんです。だって一緒にいて落ち着くんですもん。だめ?」 「ま、まぁ……構わないけど」 「やった」 時々あざといんだよな、こいつ。 「お疲れ様ー!」 「おぉ、お疲れ!」 入店して5分位すると、続々と社員達が入ってきた。 「えー! 手嶋くん、真島主任の隣ー?」 「はい! 真島主任の隣が俺の特等席なんでー!」 本当こいつ女性社員達から可愛がられてるな。 可愛いからか。 「いやぁ、遅れてすまないねっ」 「課長ーっ! お疲れ様です! 待ちくたびれましたよ、もうーっ! 寂しかったです!」 「ごめんねぇ、手嶋くん」 課長にまで媚びれるようになったか、こいつ。 最初緊張してかちこちの新入社員だったくせにっ! 「では、遅くなったけど……手嶋くんの入社を祝してかんぱーい!」 課長の乾杯の挨拶で手嶋の歓迎会が始まった。 「真島主任、進み早いですね!」 「ああ、いつもこんなもんだ」 「真島主任が酔うところ見たいなー!」 「無理だよ、手嶋くん。私らでも見た事無いからっ」 「えー! 皆さんでもそうなんですかー? 見たいな、見たいなー」 「別に酔ったところで何も変わらん。手嶋のが酔ってるな? まだ生一杯だけだろ?」 「えへへ。酔ってないのにゃあー!」 こいつイメージ通り酒が弱いんだな。 「ほら、手嶋。唐揚げ来たぞー」 「マヨネーズはー? 唐揚げはマヨネーズが無いと嫌!」 「はぁ、すみません! マヨネーズ頂けますか?」 「わぁ、真島主任! ありがとうございますー!」 また手嶋を甘やかしてしまった! けど、まぁ……こいつが幸せそうに食う姿見るのが好きだし、うん。 あれ、やっぱり最近の俺、おかしい? 「唐揚げ美味しい……」 「唐揚げ食べているだけでこんなに可愛いなんて!」 「手嶋くーん、こっち向いてー?」 手嶋が唐揚げを食べてるだけで女性社員達はきゃあきゃあ言いながら写真を撮る。 「手嶋くん、おじさんとも話してくれよー?」 「あ、課長ー! 飲みましょ、飲みましょ!」 手嶋が俺以外の会社のメンバーとも仲良くなってきたのは良い事だ。 だけど、ちょっぴりそれが複雑でいつもより多くお酒を飲み、頭をクラクラさせながらこの日は帰ったのだった。
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