第3話 会いたいです、主任!ー手嶋side

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「るぅくん、本当に帰っちゃうのね」 「う、うん。明日から会社あるし……」 「やっぱり一人暮らしやめてウチに!」 「母さん、まだ言うか」 「だって、お父さんー!」 ゴールデンウィーク最終日、荷物をまとめる俺を見て母さんはまた泣きそうになっていた。 「るぅくん、今度会社帰りにお姉ちゃんと飲みに行こうね」 「うん!」 「唯ばっかりずるいーっ!」 「母さん、いい加減流唯離れしろよ」 「だってー!」 「また帰るから。ね?」 大量の食事は勘弁して欲しいけど……。 「いつでも帰ってきて良いからね! るぅくん! 母さんずっと待ってる!」 「うん! あ、あの……俺、お仕事頑張るね! 父さん、母さん! 立派な社会人になります!」 「るぅくんーっ!」 「ああ、母さん! もう泣かないでよー!」 泣いてる母を何とか宥め、俺は実家を後にした。 例年よりやたら長く地獄だったゴールデンウィークをこうして終えた。 そして、ようやく会社が始まった。 「おはようございまーす!」 「お、手嶋くん! おはよう!」 いつも以上にドキドキしながらオフィスへ向かう俺。 自分の部署に着くと、真島主任はもう既に出社していた。 「ま、真島主任! おはようございます」 「おはよう、手嶋。社会人になって初めてのゴールデンウィークはどうだった?」 「じ、地獄……でした。特に実家。たくさん食べさせられて毎日ビュッフェでした」 「分かる。母親って無駄に多く作るんだよな」 久しぶりの真島主任……嬉しいなぁ、幸せ!! 「あ、あの……真島主任っ。俺……」 「田中、これ横浜土産」 「あ、ありがとうございます! 定番ですよね、このお菓子」 真島主任、他の社員さんの所行っちゃった。 そういえば、俺もお土産配らないと! 「課長、お疲れ様です。実家に帰省していたのでお土産です」 「ああ、手嶋くん! ありがとう! この煎餅しっとりしていて美味しいよね! 嬉しいなぁ。ゴールデンウィークはしっかり休めた?」 「はい、お陰様で」 色々ありましたけどね。 俺も主任同様千葉のお土産を社員皆に配って歩く。 最後は真島主任に……。 「真島主任、あの……お土産です」 「ああ、ありがとうな。この煎餅、初めて見た」 「濡れててしっとりして美味しいんですよ!」 「へぇ。ピーナッツの形した最中だっけ? 千葉土産だったらあれ好きだな、俺」 「じゃあ、今度買って来ます。主任の為に」 「ありがとうな」 真島主任に久しぶりに頭を撫でられちゃった!
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