第4話 俺が部下と恋なんて。ー真島side

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母さんに言われた通り、俺はウィルを連れて散歩に出かける。 「ウィル、そんなに引っ張るなって!」 ウィルはシェパードで大きな犬だからちょっと足のスピードを速められると、結構強い力でリードを引っ張られてしまう。 母さんと散歩に出かける時はスローペースらしいけど、俺が母さんより体力あるの分かってかすぐ早歩きし出す。 「嬉しいのは分かるけど落ち着けー?」 帰省して早々激しく飛び付かれたし、飼い主である母や父よりも俺に懐いているウィル。 手嶋に初めて会った時初めて会ったとは思えないと思ったのはウィルに似ているからなんだろう。 あいつやたら懐っこいし、身長182もあって大型犬っぽいし。 「こんにちはー」 「あ、佐藤さんこんにちは」 柴犬を連れた隣の奥さんに偶然会い、声をかけられる。 「ハナちゃん、こんにちは。相変わらず可愛いね」 「響くん、帰省中?」 「ええ。最終日までこっちにいる予定です」 「あら、そうなの? 真島さんの奥さん嬉しいでしょうね」 俺は隣の奥さんが連れている柴犬のハナちゃんの頭を優しく撫で続ける。 すると、ウィルが俺の膝を引っ掻いてきた。 「あらあら、ウィルちゃん……ヤキモチ?」 「ごめんごめん。ウィルが一番可愛いよ」 俺はヤキモチを妬くウィルの額に自分の額をくっつける。 本当ヤキモチ焼きなんだよな、こいつ。 けど、これからゴールデンウィーク中はウィルとずっと散歩だろうし……家に連れて帰りたくなりそう。 あぁ、ペット可なマンションにすれば良かった。 ゴールデンウィーク終わって一人暮らしの部屋に戻るのは今から少しばかり憂鬱だ。 まあ、けど考えてみたらうちの会社に子犬みたいなのがいるもんな。 そういえばあいつゴールデンウィーク中、どうしてんだろ。 ……って俺、個人の連絡先知らないし。 聞けば良かった? けど、上司に個人の連絡先教えたくはないよな、手嶋だって。 やたら懐っこいけど、プライベートはプライベート……だよな。 帰宅すると、またも母の小言が始まった。 お見合いしろとやたら言ってくるけど、今時お見合いって……それに、今すぐ結婚なんて。 「お、重い……。ウィル、上に乗るなよ」 夜になり、布団に入るとウィルが俺の上に乗ってきた。 何度降りろと声をかけても引き下がらない。 やっぱり手嶋そっくりだな、こいつに。 最近あいつも言う事聞かない時あるし。
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