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ゴールデンウィークが明けてすぐ、会社に行くと手嶋から俺の個人携帯の連絡先が知りたいと言われ、メッセージアプリのIDを教えた。
俺から聞いて良いものかと悩んでいた矢先の事だったから、驚いたけど……内心すごくすごく嬉しい。
まるで初めて好きな女の子からメールアドレスを聞かれたあの日みたいな気分? いや、それ以上。
おかしい、おかしいよな?
ただの可愛い部下なはずなのに……。
メッセージアプリを開くと、自撮りアイコンの手嶋の名前が一番上に上がってる。
俺なら絶対に自分の顔をアイコンになんて出来ない。これが30代と20代の違いか?
そして何よりアイコンの手嶋がやたら可愛い。
「真島主任のアイコン、ウィルくんなんですね?」
「ああ。溺愛してるからな」
手嶋は俺のメッセージアプリのアイコンを見つめている。
「良いなぁ。壁紙もアイコンもウィルくん! 愛されてるなぁ、ウィルくん。手嶋も真島主任にその位溺愛されたいなぁ」
「はぁ!?」
「ほら、さっき単体で撮ってもらったパンダ手嶋! 可愛いでしょ? 壁紙にしません?」
「だ、誰がするか! アホの手嶋っ」
「えーっ? けどさっき俺の事可愛いって言ってくれたじゃないですか」
「あ、あれは……」
「俺、結構嬉しかったですよ」
キラキラした笑顔で言う手嶋に俺は不覚にもまたドキッとしてしまう。
「バーカ」
「真島主任ーっ!」
「……さ、さっきのパンダの写真、後で送れ」
「へ?」
「め、姪っ子に見せっから」
本当は俺が欲しいだけなんだけどな。
「良いですけど、真島主任のパンダ姿も見たいなぁ?」
「はぁ!?」
「見せてくれたら送ってあげますよ!」
「上司を脅迫か? 仕事量増やされても良いんだな?」
「それ、パワハラっすよぉ!」
俺がパンダ被ったところで手嶋みたいな可愛らしさは出せないと思うんだが。
「仕方ないな。一瞬だけ」
俺は仕方なく、パンダの被り物を被る。
「めちゃくちゃ可愛いじゃないすか!」
「何連写してんだよ」
「だってたまらないんですもん! ありがとうございますー!」
「手嶋程可愛くないと思うけどな」
「恥じらいながらパンダの被り物を被る真島主任を見て楽しめて満足です」
「お前、Sかよ」
「えへへっ。約束通り、真島主任に手嶋パンダ送りますねー!」
こいつといると調子が狂う。
冷静ではいられない。
なんか振り回されまくってる?
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