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翌日になると、頭がくらくらするのを感じた。
だけど、今日は面接一社だけだし、何としてでも乗り切らなければならない。
今日も大学の友人達のグループLINEでは内定報告をする友人がいて、焦りを感じていた。
今日は物流総合企業の営業職の一次面接だ。面接会場は新宿にある本社ビル。
エナジードリンクを飲んで、寝不足となっている自分の身体に栄養を与えていざ面接へ。
どうか一次面接、通過しますように!
待合室で待つ間、祖母から貰った御守りを握り締めながらただただ祈る。
だけど、いざ面接が始まると頭が真っ白になるのを感じた。
一次面接はグループ面接形式で、俺の他には4人面接者がいた。
グループ面接の苦手な所は自分よりも優秀な学生と一緒になった時だ。
大学在学中に留学に行っただとか、ボランティアをしただとか、サークル活動でリーダーシップを発揮しただとか。
特別誇れる俺に出来る事は出来る限り自分の評価を高くして貰えそうな文言をひたすら並べる事しか出来ないのだ。
「ありがとうございました」
面接が終わり、面接会場を後にすると今日も一人反省会が始まる。
途中言葉に詰まるわ、噛むわ、話し言葉がうっかり出てしまうわ、終始グダグダだった。
また、ダメなのかな。
お父さんのコネを利用しちゃいましょう!と笑顔で提案する母の顔が頭をよぎり、俺はもやもやする。
だめだ、ちゃんと自分の力で!
父のコネを利用するなんて情けなすぎる……。
だけど、エレベーターで1Fまで降り、エントランスに向かっている時だった。
やばい、今朝よりもさらに頭がクラクラしてきた。
まともに歩けない……。
気付いたら、俺は倒れていた。
最悪だ、面接先の企業で倒れるだなんて。
余計印象最悪にする……大学の就職課の人達から入退場までが面接だって聞いたばかりなのに。
「おい、大丈夫か!? 君!」
一人の男性が駆け付けてきた。
この会社の人かもしれない。
面接先の企業の人に迷惑かけたくないのに。
「だ、大丈夫です……すみませ……」
「うちの医務室に運んでやる! 待ってろ!」
「へ?」
いきなり、俺は彼に抱き抱えられる。
これってお姫様抱っこじゃ!? 恥ずかしい!
「あの、本当に大丈夫ですから!」
「遠慮するな」
けど、確かにもう限界だな。
あ、意識朦朧としてきた……。
気付いたら、俺は意識を失っていた。
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