第1話 恋をした相手は上司!?ー手嶋side

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目が覚めると、俺はベッドの中にいた。 「あら、目が覚めたわね! 良かったわー!」 俺が目覚めた瞬間、母親と同じ位の年齢に見える女性が声をかけてきた。 「あの……ここは?」 「本社の医務室よ。熱とかは無いみたいだから過労で倒れたようね。ちょっと待ってて頂戴ね。貴方が目覚めたら呼んでって真島くんに言われたから」 「えっ?」 医務室の担当者の女性は医務室から突然出て行き、誰かを呼びに行った。 そうだ、俺……倒れて通りすがりの男の人に助けて貰ったんだった。 「お、目覚めたか」 「あ……」 5分くらいすると、一人の30代くらいの男性社員が医務室に入って来た。 うわ、すごい美形な男性……睫毛長、肌白い、細い……なんか俳優さんみたい! けど、声的にさっき俺を助けてくれた人だよね? 多分。 「目の前で急にぶっ倒れるからびっくりしたよ。もう大丈夫そうか?」 「は、はい。ご、ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。ありがとうございます」 「君、就活生……だよな? 見たところ」 「へ? あ、はい」 「過労だろうって聞いたけど、何か無理したりしてたのか? アルバイトとか」 「あ、えっと……就活対策に夜更かししていて」 「夜更かし?」 「情けない話、他の友達と違って上手く行ってなくて」 何で初めて会ったこの人に素直に話してるんだろ、俺! しかも、面接先の企業の人だよ!? もし、人事と繋がりある人だったらとか考えないわけ!? 「そっか。けど、無理しすぎるのも本末転倒だぞ。実際倒れちゃったし」 「す、すみませんっ!」 「けどまぁ、そんなに頑張っている君ならきっといつかは報われるよ」 「えっ?」 「大丈夫、大丈夫」 彼は優しく俺の頭を撫でる。 何これ、何で俺ドキドキしているんだ!? 相手が綺麗な男性だから!? 「あ、あの?」 「ごめん、馴れ馴れしかったな。そういえば君、名前は?」 「て、手嶋流唯……です」 「手嶋くんか。俺は真島響(ましまきょう)だ。手嶋と真島、何だか似ている名前だから親近感が湧くな」 「そう……ですね」 「けど、名前は流唯って言うのか」 あ、またからかわれちゃうかな。俺の名前って女の子みたいだってすぐからかわれるし。 「綺麗な名前だな」 「へ? あ、ありがとうございます」 からかわれなかったの初めてなんだけど。
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