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営業部に配属される前に一週間程、新卒向けで行われる研修に参加した。
研修内容はビジネスマナーを学んだり、営業に関する講習や今後の会社のあり方に関しての説明等。
「君、グループ面接で一緒だったよね?」
研修が始まる前、俺は隣の席にいた男子に声をかける。
「ああ、覚えてるよ! 一番背が高かったから」
「あはは、ありがとう。俺は手嶋流唯。東京支社に配属されるんだ! 君は?」
「俺は田中正樹。横浜支社に配属されるんだ。研修だと一日が長く感じて辛いよな」
「だね! 大変すぎる」
同期で仲良くなれそうな人も何人か見つけられたから研修自体はそこまで憂鬱に感じなかった。
実際不安なのは営業部に配属された後の仕事だ。
「手嶋は東京支社かぁ。そういえば、東京支社に超美形な営業マンがいたなぁ。俺、合同説明会行った時に見たけど、女子がたくさん聞きに来てたよ! 営業成績もかなり良いって他の社員の人が自慢してた」
「そんなすごい人がいる支社に俺が……」
俺は合同説明会はこの会社のブースがある日に行かなかったなぁ。会社説明会の方で詳しくじっくり話聞いたから。
「けどまぁ、俺らまだ新卒だし、営業未経験だからさ! それに営業部なんて1支社につきたくさんあるし」
「そ、そうだよね!」
研修中に不幸にもプレッシャーかかる情報を得てしまったけど。
超美形で成績がトップクラスな営業マン……かぁ。
まさか……ねぇ?
「でも、俺二次面接上手く話せなかったのに受かったから少し不安でさ」
「へ?」
「おっきな会社でもブラック企業だったら大量に辞める人がいる事に備えてとりあえず大量に採用してるんじゃないかって話」
「ま、まさか……」
「クチコミサイトで悪い事書いてる人もいたからさ」
「けど、良い事書いてる人もたくさんいたよ! きっと大丈夫だよ! 俺はそう思う!」
「そ、そうだよな!」
まぁ、俺も姉ちゃんが新卒で入った会社ブラックすぎて辞めてるの見てたからそれはちょっと不安だったけど。
大丈夫、あの真島さんみたいに優しい人もきっといるよね!
いるに決まってる……。
同期の男子を励ましながらも不安に感じた俺だった。
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