キャンプ

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『キャンプ女子』この言葉のお陰か、立ち寄ったホームセンターには想像していたよりもお洒落なマグカップやランタンなどが売れていて、心が弾んだ。 『ソロキャンプ』これの流行からだろうか、テントやテーブル、七輪や食器類に至るまで、「お1人様用」の道具が多く並んでいる。無駄な費用を掛けずに済みそうだ。  炭と食材を買い込んで、私はピカピカに洗車した車に乗り込んだ。この際だからと、上質な和牛、伊勢海老にホタテ、そしてちょっとお高いワインなんかも買ってみた。  完璧だ。きっと素晴らしい夜になるだろう。私は、意気揚々と人里離れた山の中にあるキャンプ場を目指した。  最近になって、私の生活スタイルは大きく変わった。普段はスーツにパンプス姿で、家に帰ればバスローブに着替えている。 休日は「綺麗目なカジュアル」を目指し、仕事とプライベートであまり気持ちがかけ離れないように心掛けている。  学生時代の派手な服装や、男受けを狙って買った 露出度の高めな洋服達は、クローゼットの奥にすら、もう存在しない。  全ては上場企業に勤めるOLという自分の理想に一歩でも近づけるように。デパートの化粧品売り場で最新のコスメに囲まれて、背筋を伸ばして接客をしている。 「綺麗になりたい。」その願いを叶えるために、私は必要な存在だ。そう言い聞かせている。  ランチの時間の社員食堂は、デパートで働くOLの「もう一つの顔」で溢れかえっている。陰口もあれば、男関係の下品な話、男性社員顔負けの豪快な笑い声をあげる者もいる。  そんな中、そそくさと日替わり定食を食べ終えると、喫煙所で煙草を片手に時間をつぶす。 そんな理想と乖離した毎日が、私をキャンプに連れ出した。
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