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天体観測
今日の授業の理科の先生は、いつもと違って生き生きとしていた。なんでも、今日は「りゅうせいぐん」って言うのが、地球の近くを通るらしい。興奮しながら話す先生の授業に耳を傾けていると、夜が来るのがとっても楽しみになった。
教科書じゃなくて、特別に用意されたプリントに星の上手な見方が書いてある。街の明かりが届かない様な暗い場所で、明かりを消して、寝転がって空を見ると良いらしい。
天気が悪い日と、月が出ている時はあまり見えないらしいけど、今日は雲一つない青空が広がっている。それに加えて今夜は新月。月が出てなくて、とっても良い条件で見えるらしい。
今夜は、家に僕だけだから見にいこうかな。ちょうど近所に、何回も登った事がある、ちょっと大きな山があるし。暗いかな?懐中電灯を持って歩いて行こうかな。
そんな事を考えていると、いつもの様にボクの後ろの席のアイツが、意地悪をしてきた。
「おい、お前、背中になんか付いてるぞ」
そう言うと、アイツはボクの背中に刺さっている画鋲を思い切り抜いた。
「痛い!」思わず悲鳴を上げると、先生が怪訝そうな顔でこちらを見た。
「どうした? なんかあったのか?」上機嫌で話していたところに水を差されたのが気に障ったのか、厳しい目つきでこちらを見ている。
「画鋲、踏んだみたいです」隣の席の女子が平然とした顔で発言した。
僕は背中のカッターシャツが一カ所だけ背中にベタっと張り付いているのを感じながら、「すいません」と呟くと、上着を羽織った。
その後再び興奮して話しだした先生の声に耳を傾けながら、ボクは「今日はリュックサックじゃなくて、ショルダーバッグで山を登ろう」と考えていた。
でも、寝っ転がると痛いかなあ。誰か、背中に絆創膏を貼ってくれないかな。今日は誰も家に居ないんだった……。まぁいっか。痛いのは慣れてるし。
今日の夜は天体観測。楽しみだなぁ。
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